「学生生活アンケ−ト」に応える
―学生諸君の要望にたいする見解―
学生活動支援部会 (鈴風114号,pp.22-27,2004年10月)
今年度から国立高専は「独立行政法人国立高等専門学校機構」の下で、全国のすべて高専が一括りの学校組織に生まれ変わった。表面的にはこれまでの学校組織と大きく様変わりは感じられてはいないかもしれないが、この機構の持つ意味合いは、2年目、3年目となるにしたがって少しずつ変化をもたらすであろう。これらの趣旨に沿って学生委員会関係では、「学生活動支援部会」がスタ−トした。
その狭間であった平成15年初頭に、本校として初めて学生諸君から「学生生活アンケ−ト」を取った。アンケ−トは次の5項目で実施された。
1、どのような学校であって欲しいですか?
2.どのような施設設備の整った環境であって欲しいですか?
3. どのような夢を持ち合わせていますか?
4.学習,課外活動,生活全般において学校からどのような支援を期待しますか?
5.その他、自由に書いて下さい。
当初、我々は学校や教員に対する学生の不満が押し寄せるのではないかと戦々恐々で、実施を躊躇していた。ところが予想に反し、学生から届いたアンケ−トの回答の中身は、今の鈴鹿高専、そして今後の鈴鹿高専を良くしていくための積極的で意欲的な回答がきわめて多く、関係者は仰天した。
「先生、こんなことがあること知ってもらっている?」、「ここを改善していけば、将来的にはもっと学校がよくなるよ」、「こんなこと実践している先生いるよ」、「このアンケ−トを出しても何も変わらないこと知っているけどね」なども含め、学生諸君の生の声が聞こえてきた。
とは言うものの、いろいろな声や要望をアンケ−トという形で聞き、15年6月には「学生支援担当教職員研究会報告書」でその肉声のすべてを公開しながらも、これまで形の整った回答は行っていなかった。
この点、以上のことが今年から発足した「学生活動支援部会」にとって、すぐにも心配りして当然の課題となってきた。ただし、応えるには相当の経費のかかるものと、気持ちや考え方などの努力でできるものがある。ちょっとした心遣いや気配りで良い方向に向かいそうなものもあれば、制度や人事にまで及ぶものなど多種多様の要望がある。よってその対応には種々の委員会やワ−キンググル−プ等で分担してすすめ、それなりの答を用意しなければならない。同時に今後とも個々の要望や問題提起はその種類・内容に応じ、いろいろな部会や教職員会議、学生課、会計課等での課題とし、改善できる点は改善していくよう努力を続けたいとも思う。
以上に鑑み、ここに学生活動支援部会の委員が、長期的展望にたった学生活動支援の意味をこめ、とりあえず現時点で分担しあい、諸君からの現在もなお活きている疑問要望等について回答を試みたものを紹介する。ただし紙幅の関係もあり大いに抜粋した形になることはご容赦ねがいたい。
T.【学習面の授業・試験について】
−JABEEをいうようになってから、先生達が追試とか多くするようになったけど、それまでは何だったんだろうと思う。
「確かにこれは学生の皆さんからしてみればそう思うのは当然だと思います。私たち教員もこれまでは外部評価というシステムが導入されるまでは、自分が担当する教科で何を教えるべきか、どのようなレベルの講義内容にするか、また試験の出題のレベル、皆さんの成績評価などについても幾分不透明だったり、曖昧であったりしていたと思います。
JABEEの評価システムが導入されたことにより、私たち教員もどんな内容をどのレベルで教授するかということが明確になりつつあり、問題点を見つければどんどん改善してゆくという体制が整ってきたといえます。そして、皆さん方もシラバスに目を通すことで、毎回の講義内容やその進度などが分かり、予習しやすくなったり、どのような知識や能力、技術が習得できるのか、自分の成績評価についても明確になったのではないかと思います。
−エリ−トの先生はいらない。ヒトをバカにした態度がいやだ。分からないなりに頑張っている人が報われない。
「実際にそういう場面があったのでしょうか。そういうふうに皆さんに受取られるような発言、振る舞いがあったのなら問題だと思います。学生を馬鹿にするような態度を常にとるような教員は本校にはいてほしくないと思います。また、このアンケ−トにはありませんでしたが、日ごろの皆さんとの雑談の中で、問題に対する質問になかなか答えてくれないというクレ−ムも聞いたことがあります。このクレ−ムに関しては、講義や使用されているテキストの中で出題された問題については、教員側から模範解答が示されて当然だと思います。
ただ、ここ数年、あまりにも簡単に答を聞きすぎる学生が増えてきたような印象があります。これは皆さんへの質問ですが、難問が出題された場合どれくらいの時間をかけて考え込むという作業をしますか。5分、1時間、それともまるまる1日費やしますか。問題には直感問題もあれば数々のステップを乗り越えてやっと一つの答までたどり着けるようなものもあると思います。直感での解決はともかく、難問はじっくりと時間をかけて知恵を絞るという習慣を身につけてほしいと思います。
今、皆さんに出題される問題はたとえ難問だとしても、答がみつかるものがほとんどです。在学中に答えがあるかないか、失敗か成功かなどが判らない中で、自分達で問題解決能力を養っていける機会としては卒業研究や創造工学などだと思いますが、そのような環境の中で、自分で積極的にしかもじっくり時間をかけて、数々の失敗の中にやっと導き出せた答を得られた時の喜びや満足感やその手法を体験して、これを社会に出てからの実力にして欲しいと思います。
我々教員はそんなふうに思って、日々皆さんと触れあっています。そのような思いの表現方法として、
その延長上に簡単に答えを教えないという方法をとられる教員方もみえるのではないでしょうか。もちろん理想は皆さんの一人ひとりの個性に合わせてのモティベ−ションの上げ方を把握して、ケア−ができればこれに越したことはないのですが、そうなると今度は、一見、同じ事をしても褒められる人もいれば、けなされる人もいるというような「ひいき」に受取られたりする可能性もあります。この点においては学生の皆さんにも私たちの立場を少し理解して欲しいな、という思いもあります。
−いろいろな先生の授業を公開にしてほしい。
「学内にFD(Faculty Development)委員会という委員会があり、ここで公開授業の実施方法や授業アンケ−トの活用方法などが検討されています。
−授業中に手を挙げて発言できるような授業がほしい。
「そういえば、小学校や中学校時代はそのような授業がたくさんあったと思います。それらが本来の授業だと感じます。授業アンケ−トのときに担当の先生に要望を出してみましょう。
−時間割上は「補習」の時間が水曜日午後にあるのに実際は行われていない。今年から60点が合格のボ−ダになって勉強が厳しくなった。補習をして欲しい。
「 補習でもう一度聞く前に、まずは自分のわからないところを先生に聞きに行くのはどうでしょうか。そのためにオフィスアワ−ズが設けてあります。補習よりも丁寧に教えてくれると思います。また、あまりに聞きにくる学生が多いと、先生も授業のやり方を考えたり、補習を開いたりするのではないでしょうか。
−レポ−トをメ−ルの添付ファイルとして提出できるようにして欲しい。
「良いアイデアですが、システム上の問題があります。提出の有無の確認手段、配送遅れによるメ−ル送受信の遅延の問題等、いろいろと検討すべきことがあります。今後の検討事項にさせてください。
−株式とかの実用的な授業を、外部の人を呼んで行って欲しい。
「よいアイデアだと思います。これからの時代、社会に出てから株式や投資に関する具体的、実用的な知識は役に立つでしょう。特活の時間にそういった授業ができるように検討中です。
−低学年では90分の授業は集中力が続かない。遅く来て早く終わる先生がいて正味90分も授業がない。きっちり90分も授業をする先生は「おもしろくない」
「遅く来て早く終わるのは集中力がないからかもしれません。90分集中するということは社会に出てからは当たり前になります。その訓練をしていると考えてください。また、常に90分集中しなければならない授業は多くはないと思います。力を入れる部分、多少抜く部分のメリハリをつければ、少しずつ集中できる時間が長くなります。
−数学や物理を少人数でしっかり勉強したいと思っています。
「少人数制は理想的な形態だけど、教員数やカリキュラムの関係で実際には実現が難しいです。オフィスアワ−ズを有効に活用し、マンツ−マンで積極的に先生に質問しながら習う習慣を身につけたらどうでしょうか。
−授業を選択性に(先生を選択)することは、どうですか。
「教員側に授業改善の余地があるのは大いに反省すべき点ですが、先生の選択性が現実化すると、単位の取りやすい先生、好きな先生、という安易な基準で利用される心配があります。授業の改善に関しては、FD委員会を中心に授業アンケ−トや公開授業等を通じて、日々実践しているところですので今後に期待してください。
−全部の教科で再試験をして欲しいのですが。
「最初から再試を期待しているのはどうでしょうか。再試験っていうのは、教員側のサ−ビスと思ってください。「あって当たり前」という発想を変えて、基本的に定期試験は文字通り「テスト」なんだから、チャンスは一度きりという気持ちで臨んでください。
−5年生でも体育の授業を実施して欲しい。
「選択でカリキュラムを作るという手がありますが、体育担当の先生の意見も聞いてみなければなりません。
−マラソン大会の廃止はどうですか。
「冬場の学生の体力強化には、各自のスピ−ドに合わせた走りが基本となり、必要な運動力と忍耐力を養うためには、マラソンが苦手でも積極的に参加して、長距離を走りきる苦しさと忍耐力を付けるべきです。創立当初の昭和37年からずっと行われてきている、伝統あるマラソン大会の意義を再確認して欲しいと思います。
U.【学校生活全般について】
−いろいろな行事を増やしてほしい。
「半期で各曜日ともに15回の授業を確保しなければなりません。16回ある曜日に行うことは可能ですから、年間行事予定を決める一月頃までに、学生会から学生主事へ要望を出してみてはどうでしょうか。
−もっと野外研修などに行きたいと思っています。
「特活の時間にスク−ルバスを使って、見学等に出かけることは可能です。むしろ推奨しています。クラスの人や担任の先生と相談してみてください。
−工場見学を増やしてほしい。
「一年間に1〜2回工場見学が実施されていると思いますが、授業時数や学校行事などの関係で、1回のみになる年度もあると思います。工場見学については、学級担任が見学先を探すこともありますので、とよく話し合って下さい。
V.【教室・学校施設について】
−すべての教室に時計、テレビ、パソコンなどを設置して欲しい。
「時計の設置は賛成です。各クラスの時計は皆さんの担任が自弁で設置しているところもあり、設備的には少々矛盾を感じます。どの教室にも設置されていて当然だと思います。ただしテレビ、パソコン等はだれが管理するのでしょう。セキュリティなどの問題もありますので、コンピュ−タはきちんと管理者がいる場所にのみ置くべきだと考えます。確かにパソコンは手元にあると便利でしょうが、図書館や情報処理センタ−などに常備されているものを使えばよいと思います。
−校舎内に水道の蛇口がほしいのですが。
「多くの学生さんが水道の設置を希望していれば、設置するよう働きかけていきますが、お金のかかることなので、実現できるかどうかわかりません。
−ロッカ−をもう少し大きくしてほしい。
「クラスの人数分のロッカ−を教室内に確保するには、現在の大きさが限界かと思います。ただ、体育で使用する靴を置く「靴箱」などはあってもいいかと思います。
−実習工場に女子トイレを作ってほしい。今のトイレではとてもじゃないけど使えません。
「女子学生が増加傾向にある本校ですから、トイレの問題は真っ先に考えなくてはならないところです。また、学内施設のそれぞれに「意見・要望箱」を設置し、それらに対して回答する制度を確立していく必要もあると思います。
−清掃用具をもっと増やして欲しいです。キャンパスクリンデ−などでも不足しています。
「これについても、学生会が中心となり、学生主事補および学生係が協力して清掃用具の不備を補った結果、現状ではかなり満足のいく状態になったと思います。それにしても、特に高学年のあるクラスなどもっと日常の清掃をして欲しいと思うのですが、どうでしょうか。そもそも清掃は、自分たちの学習環境を整備していくという目的があると思います。社会は環境に対して相当厳しく決めていると思います。
W.【学校生活〜施設整備、クラブ活性化のために】
−文系体育系ともに部室の整備、体育系トレ−ニングセンタ−建設、外部体育施設の照明施設整備、総合合宿施設の建設、図書館の拡大、青峰会館の有効活用法、保健管理センタ−、学内いやし系空間の工面など、これからの鈴鹿高専の総合的な「青写真」のようなものはあるのでしょうか。
「お金のかかる要望は簡単には実現しませんが、みなさんの要望は、将来的にはすごく建設的な意見で参考になります。文化施設、体育施設ともに他高専から比べると、充実しているほうだと思いますが、創立以来の施設もあることから、第一番に考えていかなくてはならないでしょう。クラブ活動に関する要望は、とりあえずクラブ部長の先生と相談してみましょう。
−部活動の予算配分を平等にして欲しいのですが。
「毎年度、学生会が試行錯誤で頑張っているところですから期待しましょう。でも、最近の学生会、ずいぶん活躍して、みなさんの学生会になりつつあると感じています。みなさん、これからも協力体制を忘れずにしてください。
X.【学校生活〜売店・軽食堂など】
−コピ−が一枚20円は高すぎる、学内売店は大学の売店に比べると値段が高いように思います。学食の券売機で新500円玉が使えるようにしてほしい、学生食堂および売店をもっと広くしてほしい、売店の規模をコンビニくらいにして欲しいなど、売店等に対する要望はどのようにすればよろしいでしょうか。
「コピ−が一枚20円は確かに高価です。業者さんがコピ−の会社にレンタル料を支払って、学生のコピ−を複写しているとすれば、コピ−の枚数が少ないために一枚当たりの単価は高くなるものと思います。面倒でもコンビニ店に行くとか、手で写せば大変ですが、勉強になると思います。現在、売店に対する要望を出すところがないかもしれません。学生係に確認し、校内のどこかに売店に対する要望を聞いてもらう「要望箱」のようなものを設置してもらうように検討しましょう。なお、青峰会館全体の改善を検討する動きがあります。すぐには実現しないかもしれませんが、しばらく待ってください。
−構内に専門書を扱う本屋が欲しい。専門書が手に入らなくて困っています。
「その通りです。専門書が手に入らないのは教員も同じで、苦労しています。売店等の充実は、検討事項にあがっています。もっとも、最近では大きな本屋にしかない専門書も、amazon (http://www.amazon.co.jp/)などで入手することができます。タイトルなどがわかっている場合には、こういったものを積極的に利用するのも手ではないでしょうか。立ち読みして本を選ぶということができないのが不便ですが。
Y.【学校生活〜学寮生活】
−寮の「門限」を遅くしてほしい、寮の20:30点呼をなくしてほしい、また、寮の入浴時間を延長してほしいなどの要望がありますが、どうでしょうか。
「規則正しい生活をするために寮の日課は設けられています。万一、不具合な制度があれば、寮長を通して寮務主事に要望を出してみましょう。ただし、低学年の寮生での一日の生活を考えると、これ以上のゆるやかな「学寮規則」は望めないと思います。
−男子寮にもシャワ−室がほしい、新聞の種類を増やしてほしい、寮のソファ−を新しくしてほしい、寮にもク−ラ−をつけてほしいなど、学寮の設備改善をおねがいします。
「寮の設備については、寮役員を通して、寮務主事へおねがいを出しましょう。お金のかかる要望は簡単に実現しませんが、そのように希望している学生がたくさんいれば検討してもらえると思います。ただし、膨大な設備費と電気代がかかるので、おそらく実現は難しいのではないでしょうか。また、これも高専の学寮の居室代が1ヶ月700円〜800円という金額を考えれば、これ以上の施設はないと思います。
−寮食をもう少しおいしくしてほしい。揚げ物とか油っぽいから油を切ってください。
「寮食堂では、アンケ−トが実施されていると思います。ここへ要望を書いて出してみましょう。ただ、味については、人それぞれ感じ方が違うので、すべての人が満足できるようにするのは難しいと思います。
−寮食堂にもトイレをつけてください。
「昼食時に必要になるのですか。自分の寮棟に戻ればあるし、それほど離れてるわけじゃないし。もっとも切実な理由があれば、是非、寮務主事補の先生方や寮事務の方々に相談してみてください。
−寮にPCネット環境を設置できないでしょうか。
「専攻科生と留学生には完備されましたが、本科学生のみなさんは当面、ご勘弁を願いたいと思います。
Z.【学校生活〜生活指導について】
−風紀についてはもっと自由でいいと思うのです。
「風紀とは漠然としていますが、たとえばみなさんの日ごろの生活態度や身だしなみなどが大いに乱れていたとしたらどうでしょうか。就職関係の人はじめ外部の人たちも頻繁に校内に入ってみえます。ですから、鈴鹿高専の品格を問われるようになればそれはやはり問題でしょう。少なくとも「一般社会から見て眉をひそめられる」ような格好は考え物でしょう。その意味からも、制服を着る場合には、それ相応の着方というものがあるだろうし、私服にしてもレジャ−服と同種では困ります。
−校則が甘いと思うのです。それと厳しい先生とゆるい先生の差が激しいことを感じます。
「確かに多少の差があるかもしれません。指導に関する統一した姿勢を維持できるようにする必要があります。検討事項とします。
−茶髪・ピアスの取り締まり強化を望みます。
「茶髪についてはいろいろ考え方もありますが、原則として認めていることはありません。学生本来の姿として許されるものではないと思います。ピアスについても校内においては必要ないと思います。一方で校内においては、学生会などを通じて、学生の間で自粛するように働きかけて欲しいともおもいます。担任がいくら注意しても一部の学生は、そのときだけ取り外すが2〜3日すると付けているのが現状です。自覚が何よりです。なにかみなさんの方で良い知恵はありませんか。
−タバコの取り締まり強化をいしていただけないのでしょうか。
「先生方から機会あるごとに注意してもらっています。言うまでもないことですが、タバコは厳禁です。平成16年4月より校内では全面禁煙になりました。ただ当分の間は特定の場所において、分煙したところで喫煙コ−ナ−が設置されています。ただし1年生〜5年生の学生については、これまでと同様に喫煙は禁止です。
−1年生から私服にしてほしい、また、制服のズボンをチェックにしてほしいのですが。
「2つは相反する希望ですが、それぞれこのように感じている学生が多ければ、要望を検討する先生方の委員会が設置される方向に進みます。また、こうした要望を実現するには、学生本人と保護者の方へのアンケ−ト調査なども必要な手続きになってきます。
−定期的なメンタルヘルスチェックを行って欲しい。自分からは悩みを打ち明けられない人もいるかもしれないので、どうでしょうか。
「半期に一度くらいは個人面談などがあるといいかもしれません。現在は、学生支援室の相談員の先生方が気軽に相談に乗ってくれています。悩みを打ち明けられない、と尻込みしないでどうぞ相談に行ってください。学外の専門のカウンセラ−の先生も来校してもらっています。学内の先生とは違いずいぶん気軽に相談できると思います。
[.【学校生活〜通学】
−白子駅から鈴鹿高専行きのバスを出してほしいのですが、実現の可能性はどうですか。
「通学生ならみんな思っていることです。鈴鹿高専行きのバスを作った場合、利用する学生がどれだけいるか、バス会社の採算が取れるか、ということが問題になると思います。もちろん、学校側も実現させたいのはやまやまだけど、それには予算の問題が大きな壁です。別の手段として話に出ることは、既存の路線バス会社と相談して、鈴鹿高専前にバス停留所を作れないかという案です。これもいつ実現できるかわかりませんが、今後の検討課題の一つです。
−NTTの土地を買って学校を広くして駐車場を作り、車や単車での通学を認めてほしいです。
「駐車場を増やすことは検討される動きがあります。しかし、新たに土地を確保することは膨大な費用がかかるため、難しいと思います。
−駐輪場に屋根を付けてほしい、また、防犯のため照明が欲しいのですが、どうでしょうか。
「全寮制が廃止されて、1〜2年生の7割が自転車通学になり、それまでにも不足していた自転車置き場がさらに足りなくなり、屋根のない自転車置き場を白線で引き、自転車の駐輪場として利用しているのが現状です。屋根付の自転車置き場を設置する場所についても、利用者の便利なように考慮する必要がありますが、新設予算が付かないため、何年も昔のままで駐輪場を使用してもらっている状況です。
そこで学生主事、学生主事補、学生活動支援部会が中心になり、校内のすべての自転車が屋根付の駐輪場に置けるよう、一番目の要望事項として学校に要求しておりますので、今しばらく不便をかけますが、我慢をして自転車の駐輪を整然と置いてください。
−バイクの駐輪スペ−ス拡大や、せめて250ccまでバイクの通学許可を認めて欲しいです。
「バイクの駐輪場については二輪車による通学許可される学生(学校より3km以上20km未満)の人数約60名で、駐輪できる台数は80台置けると思います。利用する人が後から駐輪する人のことを考えて詰めるようにして利用すれば、充分にスペ−スはあるものと思います。また、自宅と学校の間(3kmから20km)を使用するバイクの排気量は50cc〜125ccが適当な大きさのバイクであるものと思います。あまり大きいと、スピ−ドの出し過ぎによる大きな事故になったりして危険度が増加します。また、二人乗りによる事故や二人乗りで通学する学生が増えると思います。バイク通学は一人乗りの50ccまでのバイクが最適であると思います。
−1、2年生の原付通学を許可し、バイクの免許取得も認めてほしいのですが、どうでしょうか。
「バイクの免許は法律上、16歳から取得することができますが、交通事故で死亡したり重傷を負う危険があるため、三重県はじめ多くの県でこの年代層にはバイク免許を持たせない姿勢を保持しています。このことは法律と矛盾していないという判例もあります。これに合わせて本校も、1・2年生は通学が不便である場所を除いて免許の取得およびバイク通学を許可していません。2年生では特例で通学できるようになっています。
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以上、アンケ−トで提出された問題について概括的な回答を述べた。この試みを通じ、アンケ−トを拝見した我々教員は、諸君の声にじかに触れることができ、その中には耳が痛い、何とかしてあげたい、してあげられそうだ、それは諸君にもっと頑張ってもらいたい、それは多分無理なんじゃないか、こんな素晴らしいしっかりした意見や考えを持っているのか、などいろんな思いを抱きつつ、おおいに今後の参考にしたいと思った。
このことは別件ながら、毎年前期、後期に各1回行われる授業アンケ−トについて、学生の意見があまりその後の授業等に反映されていないなど厳しい意見があることと符合すところがあるように思う。
冒頭で述べた学生活動支援部会は、このあたりの問題を課題としている。諸君の学生生活をどのような形でサポ−トして行くかを真剣に考え、できれば、諸君と教員が何でも話し合える、活気のある学校になっていくようはたらきかけたいと願っている。諸君の学習環境を整えながら、要望に対してすべては実現できないにしても、これまで以上にコミュニケ−ションの機会を密にしながら、より充実した学校生活を送ってもらえるような方向で支援して行ければと願っている。将来有望な若い年代層の学生を指導支援する立場にある我々は、できる限り「時代」を感じ、今何をすべきかを自覚することが大切であろう。
学生諸君には、将来を担うエンジニアとしての夢を実現するため、ある意味で「温室」といわれる学生生活に甘えることなく、時代の要請とともに発展してきた高専にあって、今後とも有為な人材として日々努力して欲しい。
(最終更新日 2005/08/08)