(もひとつ奥の手: 並列処理)
集積回路の集積度は、これまで順調に向上してきました。 このような調子で、いつまでも続くかと言えば、それは、NOです。 このまま無限に続けば、配線の幅はゼロ(?)になってしまうはずです。 いつその技術的限界が来るか、いろいろな意見が出ています。 たくさんの人の努力で、しばらくはこの向上が望めそうです。 しかし、いつか限界が必ず来ます。
発想の転換! パラダイムシフト!! 今まで、ふつうの計算機では計算処理は、たった一つのCPUで行ってきました。 CPUをたくさん作ることは、集積回路が得意なところです。 一つの仕事を、たくさんのCPUに分割して渡し、それぞれの結果を一つにまとめるといった「並列処理」という全く新しい計算処理方法が注目を集めています。 材料の限界(移動度など)と製造プロセスの限界(写真技術、加工精度など)を、処理方法の転換で解決しようという、実に人間らしい“いい”発想だと思います。 発想があっても、それを支える技術がなければならないのは当然ですが、既にかなりの部分は確立していると思われます。
この方法は、電波望遠鏡などでも既に行われています。 一つのパラボラ反射アンテナを作るには、お金も材料も土地も、非常にたくさんかかります。 おそらくサイズの増加に対して、指数的に要求が増加します。 細かなものの足し合わせが大きな単体と同等とみなせる特殊な場合は、この“逃げ道”が有効です。 いつもこの方法が使えるとは、限りません。 例えば、新しいものを創り出すときには、創造的な人が必ず一人以上必要です。 いわば、アナログの足し算的な世界と、デジタルで‘しきい’値以上でないと意味がない世界の二つがあるわけです。
第二の奥の手である「並列処理」は、これからの高速処理化のかなり有望な方法の筆頭だと考えられます。 新聞紙上やカタログなどで、“並列”という言葉がこれから数多く顔を出すことでしょう。 「○○パソコン:並列CPUプロセッサ500個搭載」といった具合に。