(欠陥: 悪玉の不純物)
ここまで見てきた、ドナーとアクセプタのどちらも、良い働きだけをする”善玉”でした。
Point
真性半導体だけでは、キャリアがほとんど存在しないので使い物になりません。
使える半導体とは、不純物をコントロールされたもの。
ということが、わかってもらえたと思います。
しかし、半導体を構成する元素からみると”異分子”である不純物元素は、欠陥です。 このような、一つの元素が構成原子と置き換わった物を点欠陥と呼びます。 点欠陥が存在すると、キャリアの動きやすさ(移動度)が減少してしまい、高速動作ができなくなります。 できる事なら、ドナーやアクセプタも使いたくないくらいなのです。 仕方なく使っているのですが、これらは”善玉”として働いてくれています。 ”毒を持って薬とす”です。 しかし、ドナやアクセプタを入れずにキャリアをつくる方法として、HEMT構造が考えられ、これを利用して衛星放送の受信機などが構成されています。
Point
不純物を入れた事による点欠陥の中には、ドナやアクセプタ以外の物が多くあります。
点欠陥の中で、たまたま善玉として働く数少ないものを、ドナやアクセプタと呼ぶと思ってもらった方がいいくらいです。
このことは、ほとんどの本で書かれていません。
混ざり物である不純物が、半導体を使える物に変え、役立たせてくれます。 しかし、注意が必要なのは、半導体の中の不純物の全てが役立つ物ではない事です。 いつか別の機会で述べますが、”悪玉”の不純物の方が圧倒的に多いのです。 善玉だけをうまく選んで調節しながら入れている事を、お忘れなく。 人間の世界と、少し違うかな。