(漂流: ドリフト)
電子は、マイナスの電荷を持っています。 電界と呼ばれる電位の傾きを設けると、プラスの電荷は電位の減少する方向へ移動します。 マイナスの電子は、プラスの電荷と反対の電荷ですから、反対方向へ移動します。 このような運動を、ドリフト(drift)と呼びます。 電子の電界による速度は、次のような関係で表されます。
(ドリフト速度)=(移動度)×(電界の強さ)
ここで、電界と速度の比例定数を移動度と呼びます。 半導体材料の種類が決まれば、この移動度はほぼ決定されます。 半導体単結晶の作り方や、含まれる不純物の量などで多少は変化します。
Point!
移動度が大きければ大きいほど、同じ電界出より速く電子を走らせることができます。電界をどんどん強くしていくと、電子の速度はどこまでも速くなるかというと、そうは行きません。 電子のドリフト速度は、ある値以上にはならず、次第に飽和する傾向があります。 電界が強くなると、電子を加速して運動エネルギーを与えるよりも、次第に熱エネルギーとして与え始めます。 電子のミクロな(局所的な)温度が上昇するこの現象を、ホット・エレクトロンと呼びます。 このホット・エレクトロンはアルミ電極配線を破損してしまい、近年盛んに注目されています。 電極周辺の不純物分布を工夫するなどの対策がなされています。