(FET: 電子は人気者)
電界効果トランジスタ(FET)は、ドリフトでキャリアが移動します。 FETは電子か正孔のどちらかしかその動作としてしようしませんので、モノポーラ(単一極)トランジスタと呼ばれます。 FETの電流を伝えるキャリアとして電子を使うか、正孔を使うかで、
nチャネルFET: キャリアとして電子を利用
pチャネルFET: キャリアとして正孔を利用の二種類があります。 ドリフトで移動するFETですから、移動度が大きいほど電界に対する速度は速くできます。
前回までに述べたように、キャリアとして用いられる正孔の移動は、電子が隣の電子の抜け殻を埋めるために動き、あたかも”アブク”である正孔が反対方向へ動くように見えているだけなのです。 正孔が動くといっても、それは電子なのです。 しかし、この電子は、原子と原子を結合させていたか電子がその結合をいったん切って隣の抜け殻を埋めるのですから、自由に動き回る電子とは違います。 このことから、どのような半導体材料においても、次の関係は成り立ちます。
(電子の移動度)>(正孔の移動度)
ドリフトで利用する場合、電子の方が正孔より速く移動できることが、わかります。 このためFETでは、多くの場合、電子を使うnチャネルFETが用いられます。 電子は、FETの‘人気者’と言えます。