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祝辞(令和2年度学科入学生へ)

 新入生の皆さん入学おめでとうございます。今年度、準学士課程新入生203名、留学生3名の206名が新たに本校で学ぶことになりました。本校の教職員ならびに在学生を代表して心よりお祝いを申し上げます。

 高専の教育制度は中学を卒業した段階から実践的な技術者を育成する目的で58年前に作られ、鈴鹿高専はその一期校の一つとして設立された伝統校です。多くの優秀な卒業生が日本の高度経済成長や今日の産業の発展に大きく貢献してきたことは私達の誇りです。高専は大学と同じ高等教育機関で、入学する年齢は高校一年生と同じですが皆さんは生徒でなく学生と呼ばれます。皆さんが人生の早い段階で技術者への道を決心されたことに敬意を表します。皆さんの高専生活が実りあることを願い、これから高専で学ぶことの意義と心がけて頂きたいことをお話しします。

 先ず平成26年に全国の高専の卒業生にアンケートした興味深いデータを紹介しましょう。それは高専卒業後の仕事の満足度、地位、収入といった社会的評価に対して、高専に在学していた時の何が重要だったかを調査したものです。卒業生はアンケートで、学業成績やものづくり能力と同じ程度に、高専時代の友人満足度が重要だったと答えています。学力は技術者にとって勿論重要で、ものづくり能力も高専生が得意とするところです。一方で最後の友人満足度の重要性は、他者と良い人間関係を構築することの大切さを改めて示しています。その背景をお話しましょう。

 高専が設立されて60年近くたった今日、人工知能やIoTの普及などで社会は人類がこれまで経験したことがない大変革を迎えています。例えば技術開発は、従来はある技術を高度化することが中心でしたが、今日の技術開発は、生活を一変させたiPadやスマートフォンの開発が示すように、既存の様々な技術を組み合わせて新しい価値を創造するのが主流になっています。これを複合融合型あるいは異分野融合型の技術開発と呼び、専門が異なる多様な人々と連携できる能力がとても重視されるのです。今日では海外の人々と連携することが当たり前で国際性も重要でしょう。

 本校の建学の精神は、“技術者はすべからく紳士・淑女たれ”という考えに基づく、知・徳・体のバランスがとれた全人教育です。この素晴らしい建学精神に則り、皆さんが高専で一所懸命勉強して、良き友を沢山作り、色々なことに思い切り取り組み、個性に応じて成長されることを期待します。

 最後にもう一つ大切なことをお話します。皆さんは授業が中学校に比べて速く進むことに少し驚き、躓くこともあるでしょう。その時、自分に能力が無いと思わないで下さい。理解の仕方や理解の速さは人それぞれ異なります。わからない時はどんどん先生に質問してください。友達同士で教え合うことや先輩に聞くのも効果的です。勉強の仕方のコツを掴んで努力すれば学ぶことの面白さが分かるはずです。また、高専生活では悩むことも度々あるでしょう。しかし、挫折や失敗を経験して克服することが皆さんの大きな自信となります。困ったときは遠慮しないで教員や職員に相談してください。

 皆さんがこの素晴らしい鈴鹿高専の伝統を誇りに、充実した日々を過ごされることを心から願い、祝辞と致します。

 

令和2年4月6日

鈴鹿工業高等専門学校長 竹茂 求