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祝辞(令和2年度専攻科入学生へ)

 専攻科に入学される30名の皆さん、入学おめでとうございます。本校の教職員ならびに在校生を代表して心よりお祝いを申し上げます。

 皆さんの専攻科での勉学生活が実りあることを願い、専攻科でこれから学ぶことの意義と、心がけて頂きたいことをお話しします。

 ご存じのように高専の教育制度は、日本の産業を支える若い実践的技術者を育成する目的で58年前に誕生しました。多くの優秀な卒業生が日本の高度経済成長や今日の産業の発展に大きく貢献してきたことは私達の誇りです。しかし高専が設立されて60年近くたった今日、人工知能やIoTの普及そして第5世代移動通信システム5Gの台頭で、社会は人類がこれまで経験したことがない大変革を迎えています。例えば技術開発のあり方も大きく変わりました。従来はある技術を高度化することが中心でしたが、今日の技術開発は、生活を一変させたiPadやスマートフォンの開発が示すように、既存の様々な技術を組み合わせて新しい価値を創造するのが主流になっています。これを複合融合型あるいは異分野融合型と呼ぶことはご承知のとおりです。これらの技術開発では、知識や技術と共に、専門が異なる多様な人々と連携できる能力が重視されることも大きな特徴です。

 本校の総合イノベーション工学専攻は、まさに境界領域的な新分野で次世代の新技術を創成できる技術者の育成を目指しています。皆さんは専攻科で、準学士課程で培った専門的能力を更に高めると共に、複合領域に対応できる幅広い知識と視野を身につけ、仲間と協力して様々なことに挑戦して頂きたいと思います。

 高専卒業後の様々な進路選択の中で専攻科へ進学された皆さんに、高専の教育が今改めて大きく注目されていることを強調しましょう。例えば、人工知能研究の権威である東京大学の松尾豊教授が高専に送るエールは皆さんに心強く響くでしょう。松尾先生は、高専の教育がイノベーションに求められる素養、つまり価値ある新しい様々な変化を生み出す素養を育成していると述べ、この日のために高専があると言っても良い、高専生は日本の宝だと高専生の実践的能力を絶賛しています。

 我々は今まさに新しい時代へ移る真っただ中にいると言われており、政府は2020年をデジタル元年と位置づけました。必要な部品を自分で作れる3Dプリンターや、作ったものを制御するコンピュータ、通信技術も今は巷に溢れています。工夫をすれば無限の可能性に挑戦できる夢のような時代が到来しています。

 デジタル元年に専攻科に入学された皆さんが、新しい時代をリードする技術者を目指して充実した日々を過ごされることを心から願い、祝辞と致します。

 

令和2年4月6日

鈴鹿工業高等専門学校長 竹茂 求